Linuxのディストリビューションとは何か?2023年現在、主に使用されているディストリビューションを紹介します。
Linuxディストリビューションとは
まずLinuxとは何か?最も狭義には、Linuxはカーネルと言われるOSの根幹部分のみを指します。
コンピュータはカーネルだけがあっても動作することはできず、他にも色々なソフトウェアを組み合わせる必要があります。
例えば、サービス管理システムであったり、エディタであったり、ブラウザであったり、ユーザごとの好みで様々に組み合わせることができます。
カーネルに色々と組み合わせる方法がLinuxディストリビューションとよばれています。
Linuxディストリビューションは、Linuxができた当初から様々考えられてきました。一時期人気だったのになくなってしまったものも多数です。
ディストロウォッチに行くと様々なLinuxディストリビューションがあります。ぼんやり眺めてみるのもいいかもしれません。
Linuxディストリビューションは、人気のモノができるとそれを元に少しアレンジしたものができたりします。現在においても、新しいディストリビューションができては消え、できては消えを繰り返しています。
現在でも人気のディストリビューションを紹介していきます。
主に、Debian系、RedHat系、その他に分けます。
とても人気なUbuntuはDebian系、有名なCentOSはRedHat系です。
Debian系
Debian系は、Debian GNU/Linux本家とDebianから派生したものたちです。
debパッケージシステムでパッケージを管理しています。aptでパッケージをインストールするのが特徴です。
Debian GNU/Linux
Debian自体は1993年イアン・マードックにより開始されました。
ソフトウェアの安定的な稼働を求めるため、概ね古めのソフトウェアで構成されます。
また、純粋にOSSを求めているため、有料のにおいのするものが受け入れられることはありません。
Debianのストイックで硬派な感じに共感する人も多くファンが多いディストリビューションです。
筆者もDebianを普段使いしています。
Ubuntu
Debianの安定志向、OSS志向を少し緩めたい、つまり少し新しいもの、少しプロプラなものを入れたいという欲を持つ人が存在します。
「Debianほど厳しくなくていいんだけど、Debian並みに安定しているものが欲しい!」と思った人がいました。
ここにUbuntuが生まれました。Debianの厳しい態度を緩和して、Debianの試用版(testing)を元に、一部プロプラなドライバなどを追加しています。
全てのディストリビューションの中で最も人気のあるディストリビューションと言ってよいです。
その他
Debian系ディストリビューションはDebianから派生したもの、Ubuntuから派生したものと多数あります。いくつか挙げておきます。
- Clonezilla ディスク複製を作る専用ディストロです
- Rasberry Pi OS ラズパイ用の組み込みLinuxです。
RedHat系
RedHatは最も古くからLinuxディストリビューションを販売している会社です。
有料Linuxディストリビューションで最も売り上げています。
RHEL
Red Hat社は、Linuxディストリビューションを販売している会社の中で最有力です。
OSSコミュニティへの貢献も群を抜いています。
元々Red Hat Linuxというディストリビューションがありましたが、2003年Red Hat Linux 9を最後に開発終了しました。
Red Hat Linuxは、先進的で実験的なFedoraと、商用の安定したRed Hat Enterprise Linux (RHEL)に受け継がれています。
RHELの読み方
筆者は「レール」と発音しますが正しいのかどうか分かりません。少なくとも私が働いてきたところでは多くの人が「レール」と発音していました。
「レッドハット」と読む人も多いです。Red Hat Linuxと間違える、と思う人もいると思いますが、2003年で開発終了したので、さすがに生き残っていないので、間違えることなどないと思います。
Linuxと言えばRHELしか扱ったことがないという企業勤めのエンジニアは「リナックス」と発音します。
エンタープライズ向けOS
性能や信頼性のためにお金をふんだんに使っていい企業や役所のプロジェクトにおいては必ずと言っていいほどRHELが採用されます。
サーバが数百万円、ストレージが数百万円、、みたいなところでOSを無料にする発想はないだろうし、OSSに多大な貢献をしているRed Hatに対する畏怖もあります。
Fedora
Fedoraは最も先進的で実験的です。半年ごとにリリースされ安定していることとは無縁のディストリビューションです。
決して製品に採用してはいけないディストリビューションですので気を付けてください。
Red Hatが作成しているディストリビューションで、RHELの元となるディストリビューションです。
RHELを使ったお仕事をしているときは、開発はFedora、製品評価はRHELみたいな感じになることが多いので、開発する人は仕事で使うことが多いディストリビューションでもあります。
CentOS
製品採用するOSとしては、UbuntuかRHELがほとんどです。
最大限の苦労をして作り上げられたRHELを無料で使いたいと考える輩は多く、そのために作られたのがRHELのクローンを目指したCentOSです。
多くの製品が採用しているCentOSなんですが、なんと、2021年末開発は終了しております。CentOSに代わるディストリビューションを作成する動きがありますが、2023年時点ではどれが代替となるか分かりません。
筆者はCentOSを製品に採用することに対して否定的です。無料がいいならUbuntuを使えばいいのに、と思います。
Oracle Linux
RHELを元にしていますが、カーネルを中心にOracle DBのためにチューニングしまくっているディストリビューションがOracle Linuxです。
Oracle DBを使っている方々にはお馴染みかもです。(筆者は使ったことがありません)
その他
ひと昔前に比べるとディストリビューションの数は淘汰されてきました。上記のDebian系とRedHat系を押さえておけば困ることはありません。Slackware系やGentoo系は2023年においてはマイナーになってしまいました。
さて、ディストリビューションによってアプリケーションを集めたりコンパイルする手間を省くことができるようになりました。しかし、サポート範囲のハードウェアを拡げるために少し余分なものがついてきます。Debian系もRed Hat系も余剰なものを含んでいます。
また、全てOSSで揃えることのできるLinuxディストリビューションですので、Linuxの環境を全てソースから構築することは原理的には可能です。その面倒な煩雑さを省くのがディストリビューションです。この面倒な過程を経験すると、ソフトウェアの動き、仕組みを理解することができる可能性があります。
つまり
- 「面倒で煩雑であっても余分なものを取り去ったものが欲しい」
- 「面倒な構築を経験することでLinuxを勉強したい」
という人たちが少数ですが存在します。
Arch Linux
Archをインストールするのは非常に面倒で難易度が高いですが、非常に自由度の高い環境を手に入れることができます。
Linuxのとても硬派な人たちに非常に人気の高いディストリビューションです。
LFS
LFS (Linux from Scratch)は、本です。
自分でソースを集めてコンパイルしていくという勉強用ディストリビューションです。
決して使えないものではありませんが、アップグレードするにはまた最初からやり直すことになるので普段使いには向きません。一度でもLinuxをソースから入れた経験があると、技術力の幅が広がった気がしてきます。
筆者は2010年頃にやったことがあります。仕事が終わってから作業していましたが、Xを構築するまで一週間くらいかかりました。
まとめ
Linuxの主なディストリビューションを紹介しました。
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