上司:「来年度から君は裁量労働になるから」
私:「え?強制ですか?」
上司:「強制ではないです。労働者の自主判断です。」
私:「裁量労働の手当ては残業30時間分ですね。月の平均残業時間が50を超えてますので、給料が減ります。裁量はお断りします。」
上司:「来年度から君は裁量になることになったんだけど。。」
私:「?? 強制ではないんですよね?」
上司:「いや、強制ではないんだけど、(もごもご、もごもご)」
裁量労働制
裁量労働制あるいはみなし労働時間制というのがあります。
1988年に労働基準法で定められました。
適切に運用されていれば合法ですが、過労死しそうな状況なら転職などをお考え下さい。
3パターンが法律で認められています。
- 事業場外労働
- 企画業務型
- 専門業務型
場外型
1988年頃のもともとの導入契機は「外回りの営業職などの労働時間を把握するのが困難」とされました。
客先から家に直接帰れば会社のタイムカードを押すのが難しいし、いつも管理者と連絡をとれないので、タイムカードなんか気にせず働いたことにしちゃえ、です。
2022年の現在においては、携帯電話、スマートフォンがありますので、外回り営業であっても労働時間を把握するのは容易と思います。したがって、現在においては有名無実かと思います。
企画業務型
いろいろ調べましたがよく分かりません。
法の抜け道のような感じがしますが、ITエンジニアにはおそらく関係ありません。
法務、経理、総務などでも裁量制を導入できるように作ったようですが、採用例を知りません。
専門業務型
「研究者のように専門性が高い職種の人が費やす労働時間について、時間給で給料を出すものでしょうか?」というような発想のようです。
専門性の高い職種って何だっけ?という問いに関しては厚生労働省が19種類は間違いなく専門性が高いと言っています。
ほとんどのITエンジニアは、厚生労働省が言う19個のうちの以下の4つのどれかになると思います。(分かりやすいように言葉を少し変えています)
(1)新商品若しくは新技術の研究開発
(2)情報処理システムの分析または設計
(7)情報処理システムの問題点の把握、活用するための方法を考案または助言の業務
(9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
上記4つのどれでもないITエンジニアはあまりいないと思います。
研究者は(1)、設計者は(2)、プログラマは(2)、SEは(2)(7)、QAは(2)(7)、インフラ系や情シスは(7)。
ということで、ITエンジニアは裁量労働を経験する人は多いと思います。
残業無制限ではない
裁量労働制適用は、課長一歩手前というのが建前なんですが、まだ管理者ではないので労使協定は遵守する必要があります。
つまり、36協定の最大残業時間は守らなければなりませんし、休憩時間をとる必要があり、深夜残業、休日労働は手当を支払う必要があります。
※この場合、休日は法定休日と言って週に一日だけ設定すればよいです。日曜日を法定休日にした場合、土曜日に休日出勤しても手当は払われません。
ということで、残業無制限にできるわけではありませんが、深夜残業ぎりぎりと土曜日は出勤し放題なので、裁量手当分を超える残業をするのは容易です。
筆者イト屋の経験
筆者イト屋が働いている会社で裁量労働が採用されたときに、対象者になりました。
給料は減りました(T_T)
さらに、会社が強制で裁量労働にするにも関わらず、裁量制に採用され仕事でどういうことをしていくか、という目標を書かされました。
本気で殺意を覚えました。
カツアゲされてお金を渡しているのにありがとうございますと言え、というのと同じに感じます。
こういうゴタゴタがあったからか、設計からQAに異動しました。(左遷された?)
残業時間が危険な方へ
裁量労働制になると、残業時間を付けるのを無意味に感じます。基本的に給料が変わらないですからね。
しかし、ちゃんとつけておいた方がよいと思います。36協定の最大時間を超えてはいけませんし、心身が壊れるようなことになるかもしれません。
というか危険な残業時間なのかそうでないかを把握しておいた方がよいと思います。
心身が壊れるような兆候があるのなら、休んでください。
まとめ
裁量労働制について説明しました。
心身を壊しそうなときは無理せず休みましょう。
転職なども視野に入れたがいいかもしれませんが、まずは休みましょう。
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